亀山組:映画七転び八起き録
亀山睦実

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・亀山組週報…プロジェクトの進捗状況を週に一度お届け ・マンスリー記事…週報よりもマクロな目線で、亀山が注目している時事ネタや映画界隈の小話など、少し勉強になりそうな(?)情報をお届け

亀山組:映画七転び八起き録

ここでしか読めない新作の制作過程や、『12ヶ月のカイ』『マイライフ、ママライフ』の劇場公開の準備、海外映画祭の進捗などをシェアしていくプロジェクトです。試行錯誤する若手監督の一人として、同じく映画業界を目指す方のヒントにもなるようなコミュニティを目指します。

2021/12/11

初めに:亀山組の方向性
亀山睦実

初めまして、映像制作会社のディレクターとして、日々、映画を撮ったり様々な映像・ドラマコンテンツを作っています、亀山です。

今回、人生初のこういった形でのプロジェクトを立ち上げてみることになりました。

私自身も様子を探りながらの試運転からのスタートになりますが、これを機に、映画・エンタメに関わる人、目指す人の何かの参考になったり、インディーズ映画を応援してくれている人たちにとっても楽しめるものが作れたらと思います。

DOKUSOサポーターズ自体、まだまだこれから新機能も新プロジェクトも充実してくる場所だと思うので、本亀山組プロジェクトに関しては「ひとりの映画監督がキャリアを伸ばしていく様(あるいは伸び悩む様)を一番近くで見れる場所」として、大きなことから小さなことまで、皆さんと一歩ずつシェアして行けたらと思います。


いつもの(?笑)クラウドファンディングと違って、多分分かりにくいと思うので、ここでどのようなことをしていきたいか、どのような場所にしていきたいか、このプロジェクトの役割を最初に掲げておこうと思います。


【1】亀山組作品にまつわる「内側の動き」を共有する

クリエイターのタイプによっても違いはありますが、私の場合、同時にいくつかの作品に関わっていることが非常に多いです。うまくいくものもあれば、なかなか時間がかかるものもあり、それらのイレギュラー度合いはなかなかTwitter等の文字数の小さな場所・オープンすぎる場所では伝えることが難しい場合が多々あります。作品づくりはとても流動的なものです。極論、ものづくりも人間関係の上に成り立つものなので、途中で成立しなくなることも中には存在します。もちろん社会の状況が変われば「今は作る・動く時期に適さない」と先送りになることもあります。

それらをつまびらかに皆さんにお見せしていくことはなかなか勇気がいることなんだろうとは思います。ただ、自分にとっても、「今どこにいるのか」「今どんな状況か」を整理することは、複数の企画を同時並行で進める上で非常に役立ちます。

また、企画コンペに落ちた作品なども実はいくつかあり、それらが何故落ちたのか、どうしたら実現できるのかを皆さんと一緒に考えてみるのも、数年後まで続く楽しみとしてアリな気もしています。


【2】亀山睦実の人間性と脳内をシェアする

言い方によっては叩かれそうですが。笑

映画は家を一軒建てるレベルに本来時間もお金も人員も必要となる作業でして、その実現のためにはやはり「同じ景色を見れる人間を一人でも増やす」ことが重要だとここ数年で痛いほど体感しました。監督一人が壮大なビジョンと堅牢な精神を持ち合わせたところで、同じ作品に関わるスタッフたちも同じゴールが見えていなければ意味がありません。私たちが飛ばすべきは二葉の飛行機ではなく大型の旅客機なんです。

そのためにも、同じ世界観に共感してくれる人、同じ未来を見てくれる人をもっともっと集めていく必要があるなと感じています。


【3】若手が現実的に目指せる業界に体質改善し、映画づくりを「仕事」として日本で成立させたい

その昔、かつて自分が「映画監督になりたい」と思い始めた学生時代、映画監督というのはどういう職業なのか、どうやってなるものなのか、それを指南する本や再現性の高そうな情報はほぼ皆無でした。辛うじて「なるにはBOOKS」という中高生のための職業紹介のような本があり、数年後に「13歳のハローワーク」という本が出て、そこにもふんわりと、映画監督ってだいたいこんな感じのもの、というのが紹介されていた程度。なので必然的に「芸大や専門学校で勉強して卒業して、監督になるのだろう」くらいしか映画監督へと辿り着く道は想像が出来ませんでした。しかもそこにはお金にまつわる話が全くと言っていいほど登場しなかったので、結局いまだに「どうやって仕事として成立させたら良いか」、分からないまま映画の世界を諦めて別業界へ転職してしまう人が後を立ちません。

「続けられる人間だけ生き残ればいい」では、業界が必然と痩せ細ります。体系だったものが無かったせいで若手の育成も上手くいかず、結果的に助手不足・演出部不足・制作部不足を招いている…というのが直近の私たちの大問題だと思います。業界の人手不足は冗談じゃなく深刻です。具体的なマクロな理由は見えていませんが、特にコロナ禍以降、周囲では劇的にスタッフが不足しています。SNSでスタッフが集まらず悲鳴をあげている近辺の若手監督たちの姿を連日見かけます。映画に限らず、広告でもドラマでも、です。

その衰弱ぶりに反して、世界では次々と新しい物語が求められていて、大手配信サービスでは毎月何かしらの作品が新しくリリースされています。その中でいまだに日本はポジションを取れていません。(つい今日も、Netflixで配信されていた某日本アニメ原作のシリーズが1シーズンで打ち切りになると発表されました…。)この失敗の本質にはここでは語りきれないほど多くの事柄が関係しているので、ゆっくりここで紐解いていくしかないのですが、これが改善仕切るには私の人生があともう2回転くらいは必要かもしれません。

私自身、正直これは問題が大きすぎてどこから語ったら良いか分かっていません。すぐに効果が出るようなものも無いですし、私ひとりの力ではどうにも出来ないことが多すぎます。

ただ、それを皆さんと知識を貯めて研鑽して何かちいさな一つでも、糸口を掴みたいと思っています。



さて。

ここまでお読みいただいた皆さん、もうご想像はついているかもしれませんが、このプロジェクトでの記事は明るいニュースばかりではありません!

むしろ暗かったり、地味な面の方が多いと思います。

それでもタイトル通り「七転び八起き」で、地道に続けていく所存です。


『12ヶ月のカイ』や『マイライフ、ママライフ』や『ソムニウム』や新作のドキュメンタリーなどについても楽しんでいただきながら、実りある場所を作っていくために、是非サポートいただけますと幸いです

主催者プロフィール
亀山睦実

出身 日本

映画監督、東京都出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映画やドラマの監督および脚本、CM・TV・MV・舞台のプロジェクションマッピング映像の演出などを行う。 主な監督作品は、『マイライフ、ママライフ』『12ヶ月のカイ』(2023年公開)『世界で戦うフィルムたち』(2023年公開)、ドラマ作品は『ソムニウム』『追いかけてキス』シリーズなど。

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